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2025.06.08更新

今回は「節酒のお手伝いをするお薬」についてです。

「お酒の量が多くなってしまっているんだけど、なんとかならないかな?」時々そんな相談を受けます。よくないとはわかっているんだけど、ついつい飲み過ぎてしまうんだと。実際に「飲み過ぎ」とはどのくらいの量なのでしょうか?


適正飲酒のガイドラインでは、厚生労働省が推奨する「節度ある適度な飲酒量」を、1日当たりの純アルコール量で約20g程度(日本酒1合程度、ビール500ml程度)としています。これは、一般的にアルコール代謝能力が高い日本人の平均的な目安です。そして「飲み過ぎ」つまり多量飲酒は1日当たりの純アルコール摂取量60g以上とされています。純アルコール量60gとは日本酒だと約3合(180ml × 3 = 540ml)に相当します。ビールの場合は、350ml缶を3本(1050ml)程度、焼酎の場合は25度のものだと300ml程度です。1日にこれ以上飲んでいる人は「飲み過ぎ」です。これがなかなかやめられない、やめたくてもやめられないという場合には、アルコール依存症の可能性があります。
重度のアルコール依存症やアルコール性肝障害の方は本来「断酒」が望ましいですが、軽症の方、減酒を希望される方は減酒補助薬(セリンクロ:一般名ナルメフェン)を用いた治療も選択肢の一つとして考えていただけます。

 

さて、このセリンクロですが、飲酒への強い欲求(渇望)を抑える作用を持つ薬です。「飲んだ時の快感」も「飲まない時の不快感」も抑えることで、「無理して飲まなくてもいいかな」と感じる状態を目指します。

 

服用により、次のような効果が期待できます。
・飲酒量の減少


・大量飲酒する日の減少(二日酔いや記憶障害のリスク低下)


・1日あたりの平均アルコール摂取量が減少


・低リスク飲酒レベル(男性40g以下/女性20g以下)への改善例もあり

海外データでは、継続使用によって断酒に至ったケースも報告されています。

 

当クリニックでも減酒についての相談やセリンクロの処方はしています。ご自身で厳酒をしたい方、ご家族のお酒の量を減らしたいと考えている方は、一度ご相談ください。

 

 


参考サイト:
厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html
久里浜医療センター https://kurihama.hosp.go.jp/about/pdf/info_20190708.pdf
減酒jp https://gen-shu.jp/selincro/
きだ内科クリニック https://kida-clinic.jp/

投稿者: 江北ファミリークリニック

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