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2025.02.09更新

前回は内服薬のことを書きました。

今回は2つ目の治療法、注射です。

花粉症の治療の第一選択といえば抗ヒスタミン薬を代表とした抗アレルギー薬の内服薬や点鼻薬、点眼薬でしょう。
しかし内服薬は、往々にして副作用で眠気があります。もちろん全ての薬で眠気が生じるわけではなく、また全ての人に副作用が起きるわけでもありません。ただ眠気が生じた場合、勉強や仕事など様々なことに支障をきたすことになります。
この特に運転を生業とされる方は服用をお勧めできません。そんな方には注射による治療もお勧めです。

 

花粉症治療で用いられる注射は以下の3つが代表的です。

 

1. ヒスタグロビン  アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの働きを抑えることで、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状を緩和します。

ヒスタグロビン注射の特長としては、①非特異的減感作療法と呼ばれ、アレルギー疾患を体質から改善する根本治療であること ②スギ花粉以外が原因の人にも効果があり、複数のアレルギー物質がある人でもアレルギー反応を抑えることができること ③ステロイド注射と比べて副作用も少ないのが特徴なこと ④週に1−2回の注射を3週間続けると効果が期待できること があります。
また、花粉症の治療ではノイロトロピンと一緒に打つことでより効果を得ることができると言われています。

 

2. ケナコルト  ステロイドの一つであるケナコルトを臀部に筋肉注射する方法です。

注射後3~4週間は血中濃度が維持される特殊な薬剤となっており、1度の注射で長く効果を期待できます。
しかし、糖尿病悪化、副腎皮質の機能低下、顔が膨れる(満月様顔貌)、月経異常、皮下出血、感染症になりやすい、など、一般的に言われているステロイドホルモンによる副作用に注意する必要があります。
そのため厚生労働省や日本耳鼻咽喉科学会などはこの治療をなるべく行わないように定められており、当クリニックでは自費での対応となります。

 

3. ゾレア  生物学的製剤と呼ばれる薬の一つである抗IgE抗体オマリズマブ(商品名ゾレア®)を皮下注射するものです。従来の内服薬では鼻炎症状が治まらなかったり、抗ヒスタミン薬による眠気などの副作用が強く、より強力なものを使用できなかったりといった場合に、ご検討されることをお勧めしています。

ただし、ゾレアの治療を受けるためには①重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)で前スギ花粉シーズンでも重症な症状があったことと、②今シーズンもスギ花粉の既存治療を1週間以上行い、効果不十分であったこと、③アレルギー検査(血液検査)の結果がクラス3以上の陽性であるなどの条件が必要となります。

またゾレアの薬剤費は、保険が適用されますが、3割負担の場合、1回あたりの薬剤費は、花粉症では約4,443円~69,952円/月です。この料金は投与量や回数(月に1回もしくは2回)、体重、IgE値によって異なります。

 

より詳細な情報をご希望の方は院長にお問い合わせください。

 

投稿者: 江北ファミリークリニック

2025.02.03更新

既にニュースでご覧になった方も多いと思いますが、今年はスギ花粉の飛散が早く、すでに多くの患者さんが当クリニックにいらしていただいています。

今回はその治療について書きたいと思います。

この飛散時期にできる花粉症の治療は主に薬を用いて症状を抑えることです。
花粉症の症状は鼻汁やくしゃみ、目の痒み、皮膚の痒みや炎症、咳です。
全般的な治療には抗ヒスタミン薬をはじめとするアレルギーを抑える内服薬、
鼻の症状がひどい時には点鼻薬、
目の痒みには点眼薬、そして今年から目の周囲に塗る抗ヒスタミン薬の軟膏が発売されています。

内服薬には様々なものがあります。弱いものから強いもの、1日1回服用のものから複数回服用するもの、副作用の眠気を抑えてあるもの。
これらの薬ですが、結構その患者さんや状態との相性があります。強ければ効くとか、弱ければ効かないとはもありますが、相性の要素が大きいため、強い薬が効かなくても弱い薬が効いたなんてこともよくあります。
またシーズンによって効果が変わることがあり、これは花粉の飛散量などの影響もあると思いますが、昨シーズン効いていた薬が今シーズンは聴いていないということも時々見受けられます。
なので、シーズン初めにはまずは2週間くらい試していただくことをお勧めしています。

症状を抑えるためには飛散量の少ない時から服用を開始した方が、その後の症状が軽くなりますので、毎年花粉症に悩まされている方は、そろそろ始めることをお勧めします。

ちょっと長くなったので、続きは次回に。

それでは。

投稿者: 江北ファミリークリニック

2023.03.23更新

花粉症治療薬「オマリズマブ(ゾレア)」について


テレビで話題となっている花粉症治療注射「オマリズマブ(ゾレア)」ですが、以下の条件に該当するという診断が必要となります。


  ・重症の花粉症 (「くしゃみまたは鼻をかむ回数が20〜11回」または「鼻づまりの程度が強く1日のうちかなりの時間を口呼吸で過ごしている」など)

  ・スギ花粉のアレルギー検査(血液検査)の結果が陽性(スギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上)

  ・花粉症の既存治療(抗ヒスタミン薬、点鼻薬等)を1週間以上行い効果不十分

  ・12才以上

 

※ 投与量・投与間隔(薬剤費)は、初回投与前の血清中総IgE濃度および体重に基づき決定されるため、患者さんごとに異なります。

※ 薬剤費のご負担は年齢・所得によって異なり、1か月あたり約4400~70000円くらいです(保険適用3割負担の場合)

※ 高額療養費制度が適用されるかどうか検討される際は、保険加入先にお問い合わせください。

※ 「強力な対症療法」でありますが、「根治治療」ではありません。

 

参考サイト:https://www.okusuri.novartis.co.jp/xolair/pollinosis

投稿者: 江北ファミリークリニック

2021.04.27更新

アトピー性皮膚炎

1. アトピー性皮膚炎とは

痒みや皮膚の炎症、、湿疹、肌荒れなどがよくなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
詳しい定義や診断基準は日本皮膚科学会のサイトをご参照ください。(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/q03.html)


2. アトピー性皮膚炎の症状

皮膚の状態には、赤くなったり(紅斑)、グジュグジュしたり(漿液性丘疹)、カサカサしたり(鱗屑、苔癬化病変)、ぶつぶつができたり(丘疹、痒疹)、かさぶたができたり(痂皮)とさまざまなものがあります。

これらの皮膚症状は体の様々な部位にできますが、年齢によって現れやすい部位が異なります。
一般的には、
乳児期:頭、顔、首にはじまり、ひどくなると体幹や四肢に下降してきます。
幼小児期:首周りや臀部、肘の内側や膝の裏側などに現れやすいです。
思春期・成人期:上半身(顔、頸、胸、背)に皮疹が強い傾向があります。


3. アトピー性皮膚炎を悪化させる原因

これも症状と同じように、さまざまなものがあり、また患者さんによって異なります。一つの要因だけで起こるケースもあれば、色々な要因が重なって起きるケースもあります。具体的には細菌やダニ、カビ、汗、ペット、食事バランス、睡眠時間が少ないこと、ストレスなどがあります。


4. アトピー性皮膚炎の治療

治療のポイントは「炎症のない状態を作ること」と「皮膚のバリア機能を回復させること」です。そのためには①薬物療法②スキンケア③悪化要因の対策が治療の基本となります。

①薬物療法
皮膚の炎症を抑えるためにはステロイド外用薬が最も効果的です。
ただステロイド外用薬には様々な強さのものがあります。それらは強いものから「ストロンゲスト」「ベリーストロング」「ストロング」「マイルド」「ウィーク」の5段階に分けられています。これらの薬は体の部位や皮膚の炎症の状態によって使い分けます。例えば顔は皮膚が薄いためマイルドを主に使います。
ステロイド外用薬は長期間使うと、皮膚が薄くなったり感染がしやすくなったりするなどの副作用が出ることがあるので、炎症が落ち着いたら減量したり中止したりします。

以前は皮膚の状態が良くなったときに、ステロイド外用薬を塗るのをやめて、そのまま様子を見ていたのですが、最近はステロイドを薄くして使ったり、タクロリムス軟膏(プロトピック®)やデルゴシチニブ軟膏(コレクチム®)を使って、皮膚の良い状態を維持するというプロアクティブ療法という治療が行われています。

これらの外用薬を使っても皮膚症状がよくならない、痒みが残るなどがある時は、抗ヒスタミン剤や漢方薬などを併用することもあります。

また最近ではデュピルマブ(デュピクセント®)という生物学的製剤を用いた治療法が行われるようになりました。この治療法では、EASIというアトピー性皮膚炎の評価指標で評価をした場合、投与開始から16週間で投与開始時のベースのスコアと比較して50%改善した患者さんが80.2%、75%が68.9%、90%が39.6%という結果が得られていたようです。
実際に当クリニックにおいても多くの患者さんからデュピルマブを用いた治療の効果をご満足いただいております。
ただ、この治療の問題は高額なことです。3割負担の患者さんで、1ヶ月の自己負担額が約5万円です。高額療養費制度等の医療費助成制度の適用となる場合がありますので、もしご興味がありましたら一度ご相談ください。


②スキンケア
アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は乾燥し、バリア機能が低下していることが多いのです。そこから細菌や埃などのアレルゲンが入り、さらに皮膚炎が悪化をします。これらを予防するために普段のスキンケアが大切です。
具体的には1)保湿剤を用いること、2)皮膚を清潔にすること、がポイントになります。

1)保湿剤
保湿剤にはヘパリン類似物質製剤やワセリンなどがあります。またヘパリン類似物質製剤には軟膏やクリーム、ローション、泡状など、様々な剤型ががあります。皮膚の状態や部位、また季節などにより使い分けをいたします。

2)皮膚の清潔
細菌やアレルゲン、汗、その他の刺激物質などが皮膚から侵入しないように洗い流し、皮膚を清潔にすることが大切です。
石鹸はなるべく防腐剤や着色料、香料などが入っていないものを選び、泡立てて揉むようにして洗ってください。ゴシゴシこすることはあまりお勧めしません。


③ 悪化要因対策:日常生活で気をつけること
ダニや埃対策として換気や掃除をまめにすること、皮膚の刺激を避けるためにゴワゴワした洋服は避けること、掻いても傷にならないように爪を切ること、などが挙げられます。またタバコの煙もアトピー性皮膚炎を悪化させます。禁煙をしたり、副流煙のない環境を作ったりすることを心がけください。


参考サイト:
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/pdf/ap024.pdf
https://www.maruho.co.jp/kanja/atopic/
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/index.html

 

投稿者: 江北ファミリークリニック

2019.03.18更新

今年の花粉症はすごいですね。

今当クリニックでは花粉症の患者さんが多く、その皆さんが辛そうにしています。

例年の典型的な花粉症の症状である眼のかゆみや鼻汁、くしゃみなどだけでなく、

今年は喉や咳、皮膚の症状を訴える方も多いです。

それだけ多く花粉が飛んでいるのでしょう。

 

そんな私も花粉症に悩まされています。

例年はそれほどでもないのですが、今年は鼻も眼も辛いです。

鼻が詰まったり鼻汁が垂れそうになりながら、診察をしているので、

時々患者さんから「風邪をひいているの?」とか「花粉症つらそうですね、お大事に」と逆に気を遣わせてしまっていることも。

 

そんな中、今年は花粉症の注射を希望される患者さんが多くいらっしゃいます。

その効き目も割といいようで、「割と効いているかな」とか「効いている」という意見をよく聞きます。

 

また舌下免疫療法をされている患者さんも、その効果はあるようです。

「例年に比べ、今年は楽かな」という声も聞きます。

 

もちろん、注射も舌下免疫療法も、中には「あまり効いていない」という方もいらっしゃり、

全ての人に効いているわけではなく、あくまで個人差がありますが、

どうしても辛い人は試してみる価値はありそうです。

花粉症の注射➡︎ https://www.kohoku-fc.com/news/detail-581575.html 

投稿者: 江北ファミリークリニック

2018.12.16更新

本日大阪で総合アレルギー講習会に参加してまいりました。


これは日本アレルギー学会が主催する、内科、小児科、耳鼻科、眼科、皮膚科と様々分野にまたがるアレルギーについて総合的な講習となるものです。
この講習会は昨日から本日まであったのですが、昨日は診療があったため、参加できず。昨日の診療後、そのまま大阪に向かいました。

 

今回初めての参加、薬剤性アレルギーや皮膚科関連のアレルギー、食物アレルギーなど様々な分野のアレルギーに関する知識を得ることができました。

 

例えば血液検査と皮膚テスト、食事負荷のそれぞれのアレルゲン検索のメリットやデメリットについて、食事アレルギーの考え方や対策について、薬剤性アレルギーの病態や対策、治療などについて・・・
これ以外にもアレルギーという病気について、普段自分が疑問に思っていたことや新しい知見など、たった1日でしたが、色々と得るものがありました。

 

うーん・・・細かいことを色々書きたいのですが、スペースの問題もあるので、今日はプロローグだけとし、
今後またこのブログで詳細をお伝えしたいと思います。

 

(尻切れトンボで申し訳ありません)

 

それでは、また。

投稿者: 江北ファミリークリニック

江北ファミリークリニック 〒123-0872東京都足立区江北5丁目1-1 お問い合わせはこちら TEL03-3897-3030 江北ファミリークリニック 〒123-0872東京都足立区江北5丁目1-1
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